毎年年末に近づいてくると、会社等で「年末調整」という言葉を耳にし、書類を渡され提出を求められますよね?
アレはいったい何の意味があるのか、理解しているでしょうか?
おそらく、ほとんどの方がスルーしているのではないかと思います。書類に関してもなんとなく記入し、提出してきたことと思います。
しかしこの年末調整、かなり「重要かつ大切な申告」なのです。
どういう内容なのか簡単に知っておくと何かと便利なので、これだけは知っていただきたい超基礎知識を、初心者でも分かるよう解説していきたいと思います。
*この記事では、自営業やフリーランスの方など、自分自身で一から所得税の申告を行う方(確定申告)の話は行いません。


年末調整とは?
税金の申告
「年末調整って何?」という質問に対し大きなくくりで答えるなら「税金に関する申告」になります。
「税金」って私たちの生活の様々な場面で耳にすることが多いですよね!その中でも一番身近に感じるのは「消費税」ではないかと思います。他にはよく知られている自動車税だったり住民税だったり・・・言い出したらきりがないくらい多くの種類の税金が存在します。
その中でも、年末調整に関係する税金が「所得税」と言われる税金になります。
所得税
「所得税」と聞いてなんとなく想像できるかと思いますが、その名の通り所得にかかる税金になります。
一概に「所得」といっても、働いてもらう報酬(収入)だけが所得ではありません。
例えば「株」を保持していて売却した際の利益なども所得として扱われます。
このように、ある一定金額以上の所得がある場合、所得に応じて計算で決められた税金(所得税)を税務署に納めなければなりません。
これは、日本国憲法の第30条にある通り、納税の義務に値します。
所得税を納める仕組み
では、「どうやって納めているのか」という話になります。
会社などに勤めていると、「所得税って納めている記憶がないけど…」って思いますよね!?
そうなんです。会社などで雇われて働く雇用者は、基本的に事務などをしている担当者が、社員の所得税の申告を行ってくれます。
毎月の給料明細を見ると分かりますが、「所得税」という項目で毎月しっかりと給料から引かれているはずです。
そして、所得税は所得税でも会社側が本人の所得から一定額を差し引き、本人に代わって税務署に納めている税を「源泉徴収税」という言い方で区別しています。
所得税:1年間の所得に応じて、計算で決められた額の税金
源泉徴収税:会社側が個人の給与から徴収し、本人に代わって納める税金

「調整」に意味あり
ではなぜ、「年末調整」というのか?
難しいことを言わずに「所得税申告」とかでいいじゃん!って思いませんか?
しかし、意味があるんです。
この所得税と源泉所得税の金額は、必ずしもイコール(=)にならないのです。
「所得税」は必ず納めなければならない税金額なのに対し、「源泉所得税」は概算で引かれた税金額だからです。
そのため、1年間の収入が確定する年末にその差分を調整する必要があるから「年末調整」と言われるのです。
「控除」という仕組み
それなら概算とか言わずに、最初からきちんと計算して所得税を納めてくれればいいじゃん!って思いませんか?
しかしそこがポイントになります。
それは、人によって家庭内の支出の状況に違いがあるからなんです。
具体例を以下に挙げてみます。
①年収300万円のAさん:配偶者、子供2人の計3人を扶養。また、家族分生命保険に加入。地震保険にも加入している。
②年収300万円のBさん:扶養なし。生命保険や地震保険の加入なし。
同じ年収でも、AさんBさんのどちらが家庭内の支出が多いと言えるでしょうか?
答えは簡単ですね!
解説するまでもなく「①のAさん」ということが分かると思います。
所得税って所得に応じて税率が決められています。
この例から言うと、AさんとBさんは同じ収入なのに、所得税が一緒ってAさんにとってはかなり痛い出費になりますよね!?
そうです!
このように家庭内の支出事情に考慮し、税金の負担を軽減する仕組みを「控除」といいます。
「控除」:「税金の負担を軽減するためのありがたい仕組みなんだ」くらいに覚えておけばOKです。
控除するための年末調整
家庭の状況は、1年もあれば変化しますよね?
生命保険に新たに加入したり、妻が働き始めたから扶養から抜けたりと様々なはずです。
そのため、毎年1年間の所得が決定する年末に、「控除をしますから家庭状況を教えて下さいね」ということで、年末調整の書類を仕上げて提出するのです。
たいていの方が、年末調整後に「還付金」という形でいくらかお金が戻ってくることと思います。
あれは控除したことで、
「事前に毎月給与で引かれていた税金じゃ徴収し過ぎたので、差分をお返しします」ということなんです。
こう見ると、面倒だと思っていたあの記入作業も少し見方が変わってきますよね?

まとめ
大まかな「年末調整の意味」を、初心者でも理解していただけるよう分かりやすく解説させていただきました。
毎年なんとなく提出していた年末調整も、今回の記事で「そういうことだったんだぁ~!」と思っていただければ嬉しいです。
次回は、超初級編から少しランクアップした【初級編】として、もう少し詳しく学びたい人向けに書いていきたいと思います。
